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愛媛大学沿岸環境科学研究センター

沿革と展望HISTORY and VIEW

  愛媛大学では、海洋環境の研究に早くから取り組んできましたが、その流れは大きく二つに分けられます。一つは、海の仕組みやそこでの環境問題の発生メカニズムを物理学的、化学的、生物学的側面から解き明かす基礎的研究の分野で、多様で豊かな自然環境を備え、かつ大きな人為的インパクトを受けた瀬戸内海を主な研究フィールドとして、様々な研究を発展させてきました。もう一つは、内分泌攪乱物質(いわゆる環境ホルモン)などに代表される有害化学物質による汚染を研究する分野で、海を中心に全地球規模で生物や環境試料を収集、分析し、多くの先進的で優れた研究成果を挙げてきました。さらにこれらの分野の研究者は、1980年代半ばから学部を越えた連携関係を構築し、地域の海や世界の海の環境研究に取り組んできました。
 これらの研究の伝統と、多様化、深刻化する環境問題への対処という社会的要請を背景に、愛媛大学の研究の個性化、重点化戦略の一環として平成11年度に設立されたのが、沿岸環境科学研究センター(Center for Marine Environmental Studies, CMES)です。その後CMESは、世界最高水準の教育研究拠点を育成することを目指して文部科学省が発足させた「21世紀COEプログラム」に平成14年度に採択されて重点支援を受け、関連研究の一層の推進や若手研究者の育成に邁進してきました。さらに平成19年度からは、「グローバルCOEプログラム」に採択され平成23年度までの5年間支援を受けました。21世紀COEプログラムを衣替えしたこのプログラムは、拠点数を半減させて一層の重点支援をおこなうこと目指したものです。CMESはこの難関を突破したばかりでなく、採択時には重点支援拠点に選定され、中間評価時には最高ランクのA評価を受けた拠点の中でも「特に優れている」との高い評価を受けました。これら二つのプログラムへの採択は,我が国における環境科学の拠点としてのCMESのプレゼンスを飛躍的に高めることとなりました。
 このように二つのCOEプログラムにより着実に発展する間に、CMESの組織にも改編が加えられてきました。CMESは、発足時には環境動態解析分野、生態環境計測分野、生態系解析分野、環境影響評価予測分野の4研究分野で構成されていましたが、平成16年度には教授定員1名が新たにCMESに配置され、従来の研究分野に生態毒性解析分野を加えた5分野の体制となりました。さらに、設立10年めとなる平成20年度には、学内に「沿岸環境科学研究センターあり方検討委員会」が設置され、CMESの10年間の活動評価に基づいて今後の組織、活動のあり方が検討されました。CMESは、同委員会報告を踏まえた組織の再編を行い、平成21年度より新たな体制で発足しました。新組織は、従来の5分野を3部門に統合し、特命教員や客員教員による国際・社会連携部門を加えた4部門からなっています。この再編は、分野間の垣根をより低くするとともに、各種のプロジェクトに対応した機動的で柔軟な人事計画を進めやすくすることや、ますます必要性が高まっている国際連携や社会連携のさらなる推進を目的としたものです。
 CMESの研究活動の重要な基盤となっているのが,生物環境試料バンク(es-BANK)と調査実習船「いさな(勇魚)」です。es-BANKは、愛媛大学が過去50年近くにわたり世界各地から収集し冷凍保存している野生生物や海水、土壌などの試料を系統的に整理し、学内外の研究に提供することを目的としたもので、平成14年度に組織としてのes-BANKの組織を立ち上げ、平成17年にes-BANK棟が完成しました。es-BANKの試料は、種類数、採取年代、採取地域の広さなどにおいて他に類のないコレクションであり、愛媛大学のみならず世界の「宝」ともいえるものです。また、平成19年度末に先代の調査実習船「とびうお」の代船として新造された「いさな」は、とびうおより一回り大きな船体に高速性能を備え、CMESの海洋調査にフル稼働するとともに、学内外の環境教育等でも広く活躍しています。
 CMESは研究を主務とする組織ですが、関連する分野の研究者育成にも力を注いできました。平成17年度には学部と並列の「スーパーサイエンス特別コース」が愛媛大学に創設され、平成19年度には大学院理工学研究科に「アジア環境学特別コース」が設立されました。前者は、愛媛大学の先端研究センターに関連する分野の研究者を目指す学生のためのコースで、後者は、アジアの途上国出身の学生を受け入れて支援し、科学技術分野や行政などで活躍できる人材として育成するためのコースです。CMES教員は、これらのコースの担当教員として環境科学の将来を担う若手の育成にあたってきました。さらに、平成25年度には理工学研究科博士後期課程に先端科学特別コースが設置され、CMES教員は同コースの環境科学分野を担当しています。同コースは、愛媛大学の先端科学・学術推進機構に属するセンターのうち、4つのセンターの教員を中心に構成され、CMESのグローバルCOEと平成20年度に採択された地球深部ダイナミクス研究センターのグローバルCOEで培った教育研究基盤を継承して、国際的に活躍できる研究者を育成することを目標としています。
 以上のようにCMESは、設立以来10余年の間に我が国を代表する環境科学の教育研究拠点の一つに成長してきましたが、これからも分野間連携を一層進め、総合的な環境科学の拠点として発展していくことを目指しています。



沿革

1984年
工学部、農学部、理学部からなる学際研究グループが結成される。
1999年
沿岸環境科学研究センター設立。
2002年
21世紀COEプログラム採択。
2006年
21世紀COEプログラム終了。
2007年
グローバルCOEプログラム採択。
2009年
センター設立後10年間の活動評価及び以後の組織、活動等のあり方をまとめた「愛媛大学沿岸環境科学研究センターのあり方について」を公表。
2011年
グローバルCOEプログラム終了。
2016年
共同利用・共同研究拠点「化学汚染・沿岸環境研究拠点(LaMer)発足」。

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沿岸環境科学研究センター

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