先端研究機器

環境動態解析部門

高性能計算機システム(HPCシステム)

大規模な数値シミュレーションを行うために、多数のCPUコアを搭載した並列計算機システムです。東シナ海、瀬戸内海を対象とした高解像度の3次元海洋物理・生態系・物質循環シミュレーション、難分解性有機汚染物質の動態シミュレーション、海上風のシミュレーションなどに利用されています。

海底設置型超音波ドップラー式多層流向流速計(ADCP)

海底に設置し海流の流向・流速を測定する装置です。超音波パルスを発信し、海水中の散乱体(プランクトンや懸濁物など)からの反射音波を受信し、その周波数変化(ドップラーシフト)を利用して、海流の流向と流速を表層から底層まで連続的に測定します。急潮(沿岸域への黒潮水の進入現象)時における海流変化や、瀬戸内海の海流分布などのモニタリングに利用されています。

ガンマ線測定システム

様々な放射性核種の比放射能を測定することができる装置です。古環境学では、Pb-210の半減期に基づいて海底や湖沼で採取した堆積物の年代決定に用いられます。

遠隔操作水中ロボットシステム (ROVシステム)

一般的な光学カメラによる水中探査だけではなく、透明度の低い沿岸域に適応するために超音波による画像撮影装置(Blue View)を装備しています。また、マニピュレータを用いて藻場での海藻採集などピンポイントでの試料採集が可能です。

 

化学汚染・毒性解析部門

二次元ガスクロマトグラフ–飛行時間型質量分析計

環境・生物試料中に残留している既知/未知の有機汚染物質を網羅的に検出することができる先端分析機器です。2次元 (GCxGC) クロマトグラムと精密質量スペクトルを解析することで、未同定化合物の分子式や化学構造を推定することが可能です。

LC–qTOF–MS (SCIEX X500R)

LC–qTOFは、環境および生物学的サンプル中の既知/未知の極性有機化合物(PPCPやメタボロームなど)の包括的な検出を可能にする優れた分析機器です。 LC-qTOFは、低質量から高質量の化合物まで、正極性または負極性で、より高い感度と性能を備えた高度な定量を実現します。

リアルタイムPCRシステム StepOnePlus (Applied Biosystems)

リアルタイムPCRシステムは、DNAやRNAを対象に、絶対定量・相対定量・SNP(1塩基多型)など解析ができる装置です。本装置を使用することにより、化学物質暴露によって影響を受ける遺伝子の発現量を高精度で定量できます。

オールインワン蛍光顕微鏡 BZ-X800 (Keyence)

オールインワン蛍光顕微鏡は、さまざまな生物標本に対応する高精度定量化機能を備えた装置です。本装置を使用することにより、組織切片の高解像度画像の撮影、タンパク質の3次元での局所解析、ウェルプレートの細胞の自動解析、細胞の経時変化のトラッキングなどができます。

 

生態・保健科学部門

媒介蚊飼育システム

多くの病原体を媒介することで知られるシマカなどの蚊を飼育・維持するための機器です。媒介蚊の生育は、温度・湿度ならびに光源の点灯時間が制御可能な大型環境調節装置内で行います。また、蚊の系統維持のためには、産卵させることが不可欠であり、そのための吸血が必要です。人工吸血装置は、皮膚を模した人工膜中の血液を至適温度まで加温することで、高効率の吸血を可能とします。

マイクロインジェクター

ナノリットルレベルで注入量を正確に制御することが可能なマイクロインジェクターです。CMESでは、主に媒介蚊へのウイルスや二本鎖RNAなどの注入に用いていますが、適した素材・形状の注入針と組み合わせることで、胚、組織、他の昆虫個体などへの微量な試料の注入も可能です。

グレーティング式マイクロプレートリーダー

(コロナ電機・SH-8100Lab)
任意の波長(蛍光200~900 nm、吸光200~1000 nm)で蛍光・吸光度の測定ができるマイクロプレートリーダーです。6~384ウェルのマルチウェルプレートに対応しています。2励起2蛍光の測定や励起・蛍光スペクトル測定、吸収スペクトル測定も可能です。

愛媛大学-デ・ラサール大学国際共同研究ラボラトリー(フィリピン拠点)

メトロマニラに設置された基本的な遺伝子解析やサンプル冷凍保存などが可能な海外施設です。実験用ベンチ(シンク付き)2つ、安全キャビネット、ドラフトチャンバー、サーマルサイクラー、ゲル撮影装置、フリーザー、超低温フリーザー、ナノドロップ(超微量分光光度計)、遠心分離機、高圧蒸気滅菌器などの機器の他、現地研究員も配置されています。